

案件をいくつも抱えていて、同時に進めたいんです。でも取りこぼしそうで怖くて。
ここまでの回は、ひとつの仕事をどう進めるかの話でした。今回からは、同時にいくつも動かす話に変わります。
先に結論を書きます。増やすこと自体は、ボタンを1つ押すだけです。難しいのは、増えたあとでした。


いま、いくつ動いているか
この記事を書いている最中に数えてみました。同時に24。ひとつの仕事に12、別の仕事に11、残り1つは別件です。
いちばん長く動いているものは6日前から、いちばん新しいものは2分前からでした。
まず2つから始める
いきなり24は要りません。2つで十分です。Claudeのアプリの「Code」タブなら、やり方はこれだけです。
- 左側にある「+ New session」を押す。キーボードなら、Macは Cmd+N、Windowsは Ctrl+N
- 2つを並べて見たいときは、左側の一覧から並べたいほうを、Cmd(WindowsならCtrl)を押しながらクリック。いま開いている画面の隣に並びます
- 切り替えは Ctrl+Tab(Macでも Ctrl です)。戻るときは Ctrl+Shift+Tab
ここでいちばん心配なのは、同じものを2つが同時に触ってしまわないかだと思います。
会話は分かれています。片方で話したことが、もう片方に混ざることはありません。
ファイルのほうは、条件つきです。第15回で書いた、履歴を残す仕組み(Git)で管理しているフォルダなら、セッションを始めるときに「worktree」を選ぶと、アプリがそのセッション用に作業用の写しを作るので、変更はぶつかりません。選ばなかったときや、Gitで管理していないフォルダでは、2つとも同じファイルを触ります。うちの使い方がまさにそうで、実際にぶつかりました。次の章で書きます。
書いておいた約束ごとは、同じフォルダで開いたセッションなら、どれも開いたときに読みます。だから2つ目に教え直す手間はありません。ただ、1つ目との会話の中身は知らないので、2つ目には最初から頼んでください。
2つ目に何を置くか
おすすめは、待ち時間が長いものです。調べもの、長い文章の下読み、まとめ作業。頼んでから返事が来るまでに間があるので、その間に1つ目を進められます。
逆に、最初のうち避けたほうがいいのは、同じファイルを2つとも書き換える組み合わせです。上に書いたとおり、フォルダの管理のしかたによっては本当にぶつかります。
もうひとつ。並べた分だけ、使う量も増えます。上限が気になるときは、1つに戻せば済みます。
2つのうちは、置き場所も見張り役も要りません。頭の中で足ります。この先は、3つ4つと増えたときに起きたことです。
困ったのは、増やしたあとだった
困ったことは2つありました。どちらも、全体が見えていないせいで起きています。
同じファイルを、2つが同時に触った
うちの使い方では、セッションごとの写しは作られていません。同じ仕事をしている12のセッションが、同じフォルダをそのまま触っています。
ある日の朝、その日の記録をつけるファイルに、朝の分を書いて保存しました。予定、期限のタスク、休みの連絡、気づいたことのメモ。25分後、別の案件を進めていたセッションが、同じファイルに書き込みました。そのとき、朝に書いた52行がまとめて消えました。
消えたことに気づいたのは翌朝です。保存の履歴に残っていたので、必要な分を取り出して足し直せました。第15回で書いた「戻せる」が、ここで効きました。
片方が何をしているか、もう片方からは見えていませんでした。
書いたものが、古いまま配られた
うちには、仕事の進め方を書いたファイルがあります。誰がどの役をやるか、どこに何を置くか。新しく開いたセッションは、まずそこを読んでから動き始めます。
この記事のために数を数えたら、食い違いが見つかりました。そのファイルには「2つで回す」と書いてありました。実際に動いていたのは12。
誰かが嘘を書いたわけではありません。8月に書いたときは、2つで回すと決めていました。そのあと案件ごとに開くのが当たり前になって、数が増えた。やり方だけが先に進んで、書いたものが置いていかれたという順番です。
厄介なのは、新しく開いたほうが、まずそのファイルを読むことです。古い記録を、そのまま受け取って動き始めます。
同じものを2人が同時に直してしまう。古い手順書がそのまま配られる。人が増えた職場で起きることが、そのまま起きました。
置き場所を1つと、様子を見る役を1人
増えたあとのために置いているのは、2つです。
- 仕事の置き場所を1つに決める。やることはそこに書く。誰がどこまで進めたかも、そこを見れば分かる
- 全体の様子を見る役を1人立てる。この役は手を動かしません。止まっているものを見つけて動かすのが仕事です
置き場所は、うちの場合は社内で使っている業務システムのタスク管理をそのまま使っています。新しい道具は増やしていません。人が見ても分かる場所に置いてあるのが大事で、そこが人と共通なら、人が引き取ることもできます。
ただ、置き場所があっても、さっきの進め方のファイルは古くなりました。だから、ときどき数えて確かめる。これも様子を見る役の仕事です。
様子を見る役は、Claudeに任せています。決まった間隔で、全員が残している記録を読みに行きます。本人に聞くのではなく、記録を読みに行くのがポイントです。止まっているものがあれば声をかけて、私のところには全員の今の様子を一覧で届けてくれます。
この見回りは、この記事を書いている週に始めたばかりの試しです。
増やす前に置き場所を決めておくと、あとが楽です。増えてから作ると、すでに散らばったものを集める作業から始まります。
まとめ
- まず2つから。Codeタブの「+ New session」か、Cmd+N(WindowsはCtrl+N)で開く
- 会話は分かれる。ファイルが分かれるのは、Gitで管理しているフォルダで「worktree」を選んで始めたときだけ
- 2つ目には待ち時間の長い仕事を置く。同じファイルを両方で書き換えるのは避ける
- 増えてきたら、置き場所を1つ決めて、様子を見る役を立てる
- 書いた記録は、増えるはやさに追いつかない。ときどき数えて確かめる
まずは、待ち時間の長い仕事をひとつ、2つ目に渡してみてください。
次回は、忘れても迷子にならない話です。同時に動かしていると、自分がどれをどこまで進めたか分からなくなります。その戻り方について書きます。
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