

作ってみたい気持ちはあるんです。でも、何から決めればいいのか分からなくて、結局手が止まります。
ここまでの回で、道具はひととおりそろいました。ここからは、実際に作って、世に出すまでを追いかけます。決める、作る、直す、世に出す、の順です。今回は最初の「決める」。
題材は、私がこの夏に作った小さなゲームです。「20分以内に作る」というお題があって、20分で動くところまで行き、翌日に仕上げて、いまはこのサイトに置く準備をしています。
前回の記事では、MCP・サブエージェント・フックの3つを地図として紹介しました。


作ったもの
先に、できあがったものをお見せします。




「ツキモノおすし」。お皿にツキモノ(このサイトのゲームに出てくる、モノに取り憑くおばけ)が憑いていて、回転寿司のレーンを流れてくるお寿司が、お皿ごと逃げ回ります。下で待っているネコを左右のレーンに動かして、逃げてきたお寿司を受け止める。それだけのゲームです。
お題は3つの言葉だけでした。「おすし」「逃げる」「アクション」。そして、制限時間は20分。
本番の2週間前に、一度作ってみた
お題を受け取ったのは、本番の2週間ほど前でした。そのとき、Claude Codeと一緒に設計書を1本書いています。
中身は、いま見ると、かなり細かいものでした。遊ぶ人は中学2年生の女の子で、バレー部で、反射が速くて、手加減されるとすぐ気づく。舞台は回転寿司屋で、主人公はアルバイトの女の子。不思議なバネにお寿司を載せて、注文したお客さんのところへ飛ばす。ボタンは4つか5つ。間違えると親方が段階的に怒って、4回目でクビ。
ここまで決めておいて、本番ではこの設計を使いませんでした。
なぜか。20分でゲームを作るのは初めてだったので、思考実験というか、体験ベースでフライングにならない範囲で練習した、というのが正直なところです。本番用の設計ではなく、練習だったのです。
設計書には、Claude Code側からの技術的な返しも残っています。「ボタンを5つにすると幅375pxのスマホに収まらない」「同時押しは、ブラウザが両方の指を1回でまとめて渡すので順番が保証されない」。作る前に知っておくと、本番で迷わないことばかりでした。
本番は、その場で決めた
本番当日。ルールどおり、その場で決めました。最初にClaude Codeへ送った一言が、そのまま残っています。一気に打ったものなので少し荒いですが、原文のまま載せます。
完全新規で、Skillなどは使わずに、ぼくとリルだけでゲーム制作をするよ。
「おすし」「逃げる」「アクション」のテーマだけあるから、
20分以内に完成するようにっていうお題だから大きくなりすぎず、
かといってつまらないゲームにならないようにジャストアイデアで楽しいゲームを作ろう。
このセッション開始がスタートの合図だよ。
さぁ、一生懸命つくっていこう。
舞台:お寿司屋さん
内容:逃げるのはお寿司が乗ったの皿
ジャンルはアクションだからシンプルな操作で逃げるお寿司を捕まえるゲームにしよう。
流れてくるレーンは3つで、そのレーンの一番したでキャラクターがお寿司を捕まえるべく待ち構えてるけど、お寿司のお皿が逃げ回る(3レーンで行き来してて、最後に受け止める感じ)
「リル」は、私がClaudeにつけている呼び名です。それを除けば、ふだんの言葉だけです。でも、あとから読み返すと、4つのことがきちんと入っています。


- 前提。誰と作るか、何を使わないか、時間はどれだけか
- お題。3つの言葉
- さじ加減。大きくなりすぎず、でもつまらなくならないように
- 中身。舞台、逃げるのは何か、操作、画面の流れ
第16回で、作る前に段取りを相談して合意する、という話をしました。この一言は、その段取りを一言に圧縮した形です。計画を別に作る時間はないので、最初の指示に「何を」「どこまで」「どんな加減で」を全部入れています。
練習と本番は違っていい
2週間前の設計と、本番の一言を並べると、共通しているのはお題の3語だけです。


飛ばすゲームが、受け止めるゲームになった。5つのボタンが、3本のレーンになった。親方が怒る仕組みは、消えた。練習の中身は、ほとんど本番に残っていません。
それでも、練習で残ったものはあります。中身ではなく、「20分にはこれくらいしか入らない」という大きさの感覚です。ボタンを5つ並べると画面の幅にも時間にも収まらないこと、絵を8種類も描く時間はないこと。本番の一言が最初から「3レーン」「シンプルな操作」と小さく切れているのは、その感覚があったからだと思っています。
練習の設計は、捨てるためにあった。そう言ってしまっていいと思います。
決めるときに、決めないこと
本番の一言に、入っていないものもあります。絵をどうするか。音を鳴らすか。お寿司がどのくらいの速さで逃げるか。点数をどう数えるか。
これは忘れたのではなく、作りながら決めることにしたものです。速さや点数は、動かして遊んでみないと分からない。先に決めても、どうせ変えることになります。
第16回に、公式の目安として「変更の中身を一文で説明できるなら、計画は飛ばしていい」と書きました。何を作るかを決めるときも同じで、一文で言えるところまで決めたら、あとは手を動かす。足りない分は、動いたものを見てから足せます。
私の場合、この一言のあと、20分で動くものができました。何が起きたかは次回に書きます。
まとめ
- 題材は「ツキモノおすし」。お題は「おすし」「逃げる」「アクション」、制限時間は20分
- 本番の2週間前に、練習として一度設計した。本番ではその設計を使っていない
- 練習で残ったのは中身ではなく、20分の大きさの感覚
- 本番はその場で決めた。最初の一言に、前提・お題・さじ加減・中身の4つが入っている
- 絵・音・速さ・点数は、作りながら決める。一文で言えるところまで決めたら手を動かす
次回は、その20分の中で何が起きたかです。最初の一言から、動くものができるまで。
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