

毎回、はじめに同じ説明をしているんです。「このフォルダの中はこういう決まりで」って。前に言ったのに、と思いながら。
これは、Claude Codeの仕組みそのものです。会話は、始めるたびに白紙から始まります。前の会話でやりとりした中身が、そのまま次の会話に引き継がれるわけではありません。
前回は、作り始める前に計画で合意する話をしました。ただ、その合意も会話が終われば消えます。だから毎回、同じ前置きを書くことになります。
今回は、その前置きを置いておく場所の話です。一度書いておけば、次の会話も同じところから始められます。
前回の記事では、先に段取りを相談して合意してから任せる進め方を取り上げました。今回はその続きになります。


覚えていてほしいことは、ファイルに書く
Claude Codeには、会話を始めるときに必ず読むファイルがあります。名前は CLAUDE.md。Claude Codeを開いたフォルダにこの名前のファイルを置いておくと、中身を読んでから会話が始まります。
中身はふつうの文章です。決まった書き方はありません。公式の手引きは、こう言っています。そうしないと毎回言い直すことになるものを、書いておく場所だと。
たとえば、こういうものです。
- このフォルダの中で、どこに何があるか
- いつも守ってほしい書き方。「日付は2026-08-26の形で」のような
- 「これはしないでほしい」という決まり
- 確かめるときの手順。「直したら、この手順で動くか見て」


書くタイミングは、公式がはっきり示しています。同じ間違いを2回されたとき。前の会話で打った訂正を、また打っているとき。新しく入った人にも、同じ説明が要ると思ったとき。
自分で一から書かなくても大丈夫です。「このフォルダ用のCLAUDE.mdを作って」と頼めば、Claudeが中を見て叩き台を作ります。それを読んで、足りないところを足していくのが早いです。
まず覚えておけばいい置き場所は2つです。作業フォルダの中に置けば、そのフォルダの仕事でだけ読まれます。自分のホームフォルダの決まった場所に置けば、どの仕事でも読まれます。自分の好みや言葉づかいは後者、その案件の決まりは前者、と分けるのが目安です。
書けば書くほど守られる、ではない
ここが、この回でいちばんお伝えしたいところです。CLAUDE.mdは、短いほうが守られます。
公式の目安は200行以下。長くなると、大事な指示がほかの行に埋もれて、守られなくなると書かれています。「CLAUDE.mdがふくれあがると、肝心の指示が無視されてしまう」と、かなり強い言い方です。
理由は、Claudeが一度に覚えていられる量に限りがあるからです。CLAUDE.mdは会話のはじめに丸ごと読み込まれます。長ければ長いほど、会話に使える余裕が減ります。
公式が勧めている見方が、そのまま使えます。1行ずつ、「この行を消したら、Claudeは間違えるか」と問う。間違えないなら、消していい。すでにちゃんとやっていることを、わざわざ書く必要はありません。
書いてあるのに守られないときも、まず疑うのは長さです。次に言い方。「きれいに書いて」より「字下げは半角スペース2つ」のほうが守られます。2つの行が矛盾していると、どちらかが勝手に選ばれることもあります。
もうひとつ、知っておきたいことがあります。CLAUDE.mdに書いたことは、お願いであって、強制ではありません。Claudeはそれを読んで守ろうとしますが、絶対に破られない仕組みではないと公式も書いています。必ず守らせたいものには別の仕組みがあって、それは次回の話です。
手順になったら、スキルにする
CLAUDE.mdを書いていると、そのうち「決まり」ではなく「手順」が混ざってきます。「公開するときは、まずこれを確かめて、次にこれをして、最後にこれ」のようなものです。
こういうものは、CLAUDE.mdから外してスキルにします。公式も「CLAUDE.mdの一部が事実ではなく手順に育ったら、スキルに移す」と書いています。


違いは、読まれるタイミングです。CLAUDE.mdは毎回、丸ごと読まれます。スキルの本文は、使うときになってはじめて読まれます。使うまでは名前と短い説明だけなので、手順が長くても、ふだんの会話はそのぶん軽く済みます。ただし読まれたあとは会話に残るので、スキルの本文も短いほうがいいのは同じです。
作り方は、CLAUDE.mdと大きく変わりません。作業フォルダの中の決まった場所に、手順を書いたファイルを置くだけです。「公開の手順をスキルにして」と頼めば、Claudeが作ってくれます。


できたスキルは、/名前 と打てば呼び出せます。頼んだ内容がスキルの説明に合っていれば、Claudeが自分で読み込んで使うこともあります。
このスキル、第7回で取り上げたものと同じ仕組みです。あのときはClaudeのアプリの中で作り、自分のアカウントに置きました。今回新しいのは、その案件専用の手順を、その案件のフォルダに置けることです。フォルダごと人に渡せば、手順も一緒に渡ります。
「公開する」「送信する」のように、やり直しがきかない手順は、自分が打ったときだけ動くように設定できます。Claudeが「もう公開できそう」と判断して勝手に動く、ということがなくなります。
Claudeが自分で書くメモもある
ここまでは、自分が書く話でした。実はもうひとつ、Claudeが自分で書くメモがあります。自動メモリと呼ばれています。
会話の中で「そうじゃなくて、こうして」と直したこと。「私はこういう立場で、こういうのが好き」と伝えたこと。そういうものの中から、次も役に立ちそうだとClaudeが判断したものを、自分でメモに残します。次の会話では、それを読んでから始めます。


CLAUDE.mdとの分け方は、公式がきれいに対にしています。CLAUDE.mdは人が書く指示。自動メモリはClaudeが書く学び。コードを読めば分かることや、CLAUDE.mdにもう書いてあることは、メモには残しません。
メモはふつうの文章ファイルなので、中身を見られますし、直したり消したりもできます。「これは覚えておいて」と言えばメモに残り、「これはCLAUDE.mdに書いておいて」と言えばCLAUDE.mdに入ります。言い分けるだけです。
最初から全部そろえなくていい
3つの置き場所を紹介しましたが、最初から全部を用意する必要はありません。公式も「はじめはCLAUDE.mdだけ。ほかは、きっかけが来たら足す」と書いています。


- 同じ間違いを2回されたら、CLAUDE.mdに1行足す
- 同じ頼み方を毎回打っていたら、スキルにして一言で呼ぶ
- 同じ手順を3回貼ったら、それもスキルにする
きっかけは全部、「また同じことをしている」と自分で気づくことです。気づいたら、ファイルに移す。気づかないうちは、何も足さなくていい。
私たちも、この順番で育ててきました。最初のCLAUDE.mdは数行でした。間違いを直すたびに1行足し、手順が混ざってきたらスキルに切り出す。その繰り返しで、今は案件ごとにフォルダを開けば、前置きなしで同じ前提から始められます。
覚えさせる、というより、自分たちの約束ごとを紙に書いておく感覚に近いです。相手が変わっても、紙があれば同じところから始められます。
まとめ
- Claude Codeの会話は、始めるたびに白紙。前置きを残す場所が3つある
- CLAUDE.mdは、毎回守ってほしいことを書くファイル。会話のはじめに必ず読まれる
- 書くのは、そうしないと毎回言い直すことになるものだけ。目安は200行以下
- 1行ずつ「消したら間違えるか」で残す。守られないときは、長さと言い方を疑う
- CLAUDE.mdはお願い。必ず守らせる仕組みは別にある(次回)
- 手順に育ったものはスキルへ。使うときまで読まれないので、ふだんの会話が重くならない
- Claudeが自分で書く自動メモリもある。人が書く指示と、Claudeが書く学びの対
- 最初はCLAUDE.mdだけ。「また同じことをしている」と気づいたら足す
次回は、Claude Codeを外とつなぐ話です。自分のパソコンの中だけでなく、いつも使っているサービスから情報を取ってきたり、大きな調べものをまるごと任せたり。そして今回「お願い」だったものを、必ず守らせる仕組みも。


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